【読書】読者は変わる、西尾維新は変わらない~『掟上今日子の遺言書』~
趣味は読書、と言うと、当然ではありますが、「どんな本を読むの?」と訊かれます。
この質問、困るんですよね。
どんなって…うーん、わりと何でも?
小説も読むし、エッセイも読む。
日本文学も読むし、海外文学も読む。
ライトな人文系も読むし、ビジネス書も読む。もちろんマンガも読みます。
好みはありますが、わりと雑食なので、どんな本を読むのと訊かれると困っちゃうんですよね。
ただ、ライトノベルはあまり読みません。
もう少し読みごたえのある本を読んでるよ、と言いたい、見栄とでもいいましょうか。
そもそも文体がヤングすぎて生理的に受け付けない…というのもあります。
自分ルールで、有川浩くらいまではセーフってことにしています(笑)
そういった点では、西尾維新はギリギリのラインになります。
ギリギリっていうか、ギリギリアウト?(笑)
- 作者: 西尾維新,VOFAN
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/10/06
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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で、今回12年ぶりに読んだんです。西尾維新。
『掟上今日子の遺言書』です。話題の「忘却探偵」シリーズを読みたかったんですが、本屋に行ったらこれしかなかった、という。
でも、設定も謎解きも14歳の自分には衝撃的かつ刺激的だったので、「ほええ!刺激的!」とか思いながら、それなりに楽しんだのだと思います。
そして26歳秋、再び西尾維新。
いやもう正直分からないですねー。オチ(謎解き)も「?」って感じ。
1日で記憶がリセットされる「忘却探偵」こと掟上今日子が、意味深な遺言書を遺して投身自殺した少女の自殺理由を探る…という話なんですが、肝心の謎解き(自殺の理由)も、ちょっと理解できない。
理解できないと言うべきか、共感できないと言うべきか。
しかも全体的に「内輪ネタ」が多いし、文体も相変わらず独特なこじれた感じなので、「ほええ、ついていけないよー」となっちゃうわけです。
でもこれ、たぶん14歳の頃の自分だったら楽しく読んだと思うんですよ。
何なら「ほええ!衝撃!」とか思ったかもしれない。
つまり、西尾維新がつまんなくなったんじゃなくて、私がおばさんになったんです。
ひたすらすごいのは、この作家が、12年経っても「14歳の感性」の小説を変わらず書き続けている、っていうことです。
干支がひと回りしても、オリンピックを3回やっても、同じ作風、同じ文体、同じ感性で何十作も書き続けている。それがすごいなぁ…と思いました。
読者はどんどん入れ替わるけれど、作家は変わらない。
プロですねえ。
もちろん「戯言シリーズ」よりは「忘却探偵」の方がやや一般向けの感はありました。
深く分析したら変化もあるのかもしれませんが…
読後感はやっぱり「西尾維新変わってないな」「私も歳をとったな」でした。
もう26歳だなんてな。ほええ。
以上はねゆきでした。