はねゆきノート

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【マンガ】『花のズボラ飯』~圧倒的「自分世界」とちょっぴりの「狂気」

下世話で恐縮ですが、今月はお金がありません。

何でこんなにお金がないんでしょうか。本当に分かりません。残高を確かめたら、予想と5万くらいかけ離れておりました。なぜ。

知らないうちに何かが引き落とされたんでしょうか?謎。記帳…は、3年くらいしてない。

 

…しかし心配は無用です。私は今までもこういう人間として生きてきましたので、もはや慣れております。生活にかかわることがらは、うまくいかないのがふつうです。

人間、自明のことがらについては、疑問に感じることすらできないのです。

お金がないならないで、そういうもんだよなぁ、とか言いながら、そのように暮らします。人間は空を飛べない。時間を巻き戻すことはできない。そして私には自己管理能力がなく、結果お金がないし結婚もできない。そういうもんです。そのようにやっていくしかない。

 

前置きが長くなりましたが、そのような事情で、今月は食費を抑えなければなりません。

毎日3食コンビニで暴食している場合ではないのです。でも、いつかはこの生活(3食コンビニで暴食する)をやめなければ…と思っていたので、お金がないのは天の配剤と言わざるを得ません。

お金があれば、あるだけ食べまくってしまいますからね…

 

そこで、『花のズボラ飯』というマンガを読みました。

お金がないので、レンタルコミックで。2泊3日で50円です。素敵な時代ですね。

花のズボラ飯

花のズボラ飯

 

 

アマゾンのレビューを見る限り、賛否両論みたいです。

低評価のレビューは、概ね「食べ方が汚い」「汚い部屋で不潔な女が食事しているのが、生理的にムリ」といった点に集約されるようです。

お、おう、って感じ。いやいや、グサッと来ますねー。

個人的には、この主人公は包丁やコンロを使って調理するし、調味料や食材もそろえているし、皿も洗うし、生活面では全然ズボラじゃないと思います。

アマゾンのレビューを見て、世の中の人たちの多くがこのマンガの主人公よりきれいな部屋で暮らしているという事実を知り、ちょっとびっくりしました。

 

レシピの参考にはならない

 

 

「このマンガなら、ズボラな私でも作れる簡単で美味しいレシピが載っているかも…」と、かなり期待して読みました。何せ今月のテーマは「脱コンビニ依存」ですからね!!

でも、レシピの参考にはなりませんでした。ちょっとがっかりポイントですね。

理由としては、

・包丁とコンロを使わないレシピも登場したが、あまりおいしそうじゃない。

・おいしそうなレシピは、包丁とコンロを使用している。

・鮭フレークやタバスコ、塩昆布、新潟産のなにがしといった常備食・調味料が当然のように出てくるが、うちにはない。

・もらいもの(栗やもち)で食材をまかなう回が多く、そういう材料もうちにはない。

 

包丁とコンロを使わない前提がそもそもおかしいのかもしれませんが…うーん。

コンビニのおにぎりを茶漬けにするのと、「シャケトー」はやってみました。が、「まぁ、意外とイケなくはないな」というくらいで…。

たぶん、他に食べるものがあればそれを食べるだろうな、と思いました(ズボラ飯ってそういうものですね)

 

圧倒的「自分世界」と、誰でも持ちうる狂気

その他、批判的なレビューで多かったのは、「主人公の独り言がキモイ」というものでした。

夫が単身赴任中で、主人公の花は現状独り暮らし。子供もおらず、書店員のパートをしています。マンガはこの主人公の、妙にハイテンションなモノローグをメインに展開していきます。

 

「ごはんがないチンゲール」

といったダジャレとか、

「ハナコ選手、今 食欲に火がファイヤーしてしまいました!」

といった実況中継風の独り言とか…

 

このマンガって、徹底的に「主人公・花の一人芝居」なんですよね。

パート先の店長とか、お隣さんとか、ちょこっと出てきますが、基本「食べ物をくれるひと」として登場するにすぎず、主人公もそのようにしか認識していないふうです。

そんな花ですが、なかなか楽しそうです。だって旦那さん大好きだから。部屋に帰れば自分の世界があるから。

読者には顔の見えない旦那さん(単身赴任中)への愛を延々と語る。妙にハイテンションなモノローグで、時に読者を置き去りにして自分の世界に入ってしまう。というか誰かに理解してほしいと思っているふうでもなく、自分が言いたいことをただ言っている、だけのように見える。足元を見れば、世間一般からは受け入れられないような不潔な部屋。ズボラな生活…

私は、どちらかというと凄みを感じました。正直ちょっと狂気じみているな、と。

 

底抜けに明るい「圧倒的な独自の世界」を持つ一方、狂気もちょっぴり感じられる。それは、さみしくなったら、人間誰しも持ちうる可能性のある狂気です。

とにかくこのマンガは、単に汚い女がアへ顔で汚く食い散らかしているだけというような、底の浅い表現では決してないな、と思ったんです。

ただ、批評的なレビューが多いのもうなずけます。ふつうに社会とつながって、バランスよく生きていける人であれば、この個性は理解しがたいし、この狂気には恐怖すら覚えるのではないでしょうか。

そもそも、「誰かに理解してほしいと思っておらず、ただ自分の欲望の赴くままに、しゃべりたいことをしゃべっている」人を見るのって、正直ちょっと苦痛ですよね…という。

 

ぐだぐだ書いてきましたが、結論は、

①レシピは真性のズボラな人には参考にならない

②アマゾンレビューは低評価なものが多いが、私は意外と深いと思った

③アマゾンレビューが低評価なのは、花ちゃんが「誰の理解も共感も求めず、ただ自分のしゃべりたいことを延々としゃべっている」マンガだから。

の3点になります。

 

以上はねゆきでした。