はねゆきノート

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【読書】「なぜ私は内田樹の本を全買いするか」

内田樹『困難な成熟』読書中です。

自分で言うのも何ですが、私は内田樹先生のヘビーリーダーです。
既刊はほとんど買って読んでいるし、書店で新刊が出ればほぼ無条件でレジに持っていきます。もちろん対談本も、経済の許す限りは買います。大好きなんですよねー。
今日は、「なぜ私は内田樹の本を全買いするか」というタイトルをつけてみました。
本当は「なぜ内田樹の本は全買いに値するか」みたいなタイトルをつけて猛プッシュしたかったのですが、あんまりかなー‥と思ったので、あくまで自分個人が彼のファンであるところの理由を述べるに代えたいと思います。(それでも十分伝わると思われる)

 

困難な成熟

困難な成熟

 

 


大事なことを何度も教えてくれる
彼の本を読んでいると、いつも出てくる話があります。
「『いつか大変なことになりますよ』という警告する人間は、いつしか無意識に『大変なことが起きる』ことを願うようになる」とか、「悪環境に置かれると、人間は身体のセンサーを無意識に切り下げる」とか、そういう鉄板ネタがあるわけです。
かといって、「またその話かよ」と食傷するわけではなく、「お、いつもの鉄板ネタだ」と思って安心して拝聴できる。
「拝聴」とつい書いてしまいましたが、彼の本を読んでいると、単に文字を読んでいるというよりは講義や説法を拝聴しているような気分になるんですよね、不思議と。

 

読んでいる間は、いつもより頭が良いような気がする
内田樹の本を読んでいる間は、いつもより頭が良いような気がするんです。
自分の書く文章の文体が、そのとき読んでいる本の文体に左右されることってよくありますが、内田樹の本を読んでいる間は、語彙が移ったり、言い回しが移ったりするだけではなく、物事を考える際の「理路」まで移っているような気がします。

 

「私は読者に想定されている」という安心感
これが、内田樹の本を中身を見ずに全買いする最大の理由なのですが、彼の本はだいたい「この本は私のために書かれたのではないか」という錯覚を抱かせてくれます。ものすごい安心感&信頼感!
ご本人も、良い本は多くの読者にそういう錯覚を起こさせる…というような話をどこかに書いていた気がします。

 

自己啓発本などを読んでいると、「あなたは優しすぎて、面倒な人に振り回されてしまうのです」みたいな語り口がたまにあります。「自分自身を愛することで、<不快な隣人>の存在を受け入れ、赦し、ありのままでいられるようになります」とか。
こういう本を読んで、「そっかー、私はいい人すぎて振り回されちゃうんだー」などと思えるほど、私はお気楽人間ではありません。どちらかというと<不快な隣人>に分類されると思っているので(笑)「お前のような人間がいるせいでいろんなことが上手くいかないんだ」と言われているような気分になる(面倒くさい女ですみません)。
ただ私は、自分自身こそが共生しづらい<不快な隣人>である、と思える自分がちょっとは好きです(面倒くさい女ですみません)。

とにかく、内田樹の本を読んで、「確かに私みたいな『いやなやつ』のせいで上手くいかないのかもしれないけどさぁ」というような自虐的な気分に陥ることはまずありません。基本的に自己点検の方法とか、知性や身体性を賦活する方法とか、「世間知」(世の中っていうのはこういうもんなんだよ的な)を教えてくれる著者だと思っています。


最新刊の『困難な成熟』も非常に示唆的な本です。
読み終わったらまたその話を書こうと思います。

 

以上、はねゆきでした。