はねゆきノート

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映画「怒り」感想戦

映画「怒り」を観てきました。

読後感ならぬ「観賞後感」が、なんというか、重たい…

 

あらすじ

一年前、東京八王子で起きた夫婦殺害事件。壁に「怒」の文字を残した犯人は、整形して、いまだ逃亡を続けている。

前後して、東京・千葉・沖縄の3つの土地に、身元不明の男が出現する。

それぞれの土地で、周囲の人々は彼らを受け入れていくが、それぞれ犯人と似た特徴があることが判明し、疑惑が沸き起こっていく。

 

で、誰が犯人なの?という話ですけれど、

私は最後の20分まで3人のうちの誰が犯人なのか分かりませんでした…。

 

以下感想羅列します。

 

 

まず演技が凄い

・東京編では、妻夫木聡綾野剛がゲイカップルを演じます。いや、普通にエロいと思いました。冒頭ふたりがハッテン場で出会って、妻夫木さんが三角座りしてる綾野さんの脚をちょいちょいって蹴って、倒れ込むとことか。いや本当エロい。

 

・千葉編では、宮崎あおいが凄かった…。なんというか、目に静かな狂気みたいなのが宿っていました。「愛子だから?」って父ちゃん見据えるシーンとか(まぁ観てくださいよ)

 

・沖縄編では、森山未來はもちろんのこと、新人の佐久本宝が凄かった…!

最後は、あれが許せなかったという、純粋ではありますが物語的にはよくありうる、ともすれば薄っぺらいまとめ方・説明になっていたんですけれど…沖縄編のクライマックスのシーンで佐久本くんが見せたのは、それを遥かに凌駕する感情というか熱量というか…。もう、許せなかったとかそういう次元ではないなと。

そこまでのシーンで散々平面的な(本気は難しいとか、広瀬すずのために何ができるかとか)ことを言っていて、私としては彼のことを理解しづらくて(私が邪悪なんですかね)

…なんとなく、確かに物語の登場人物はそういうことを思うだろうけれど、実在の人物としてのリアリティーに欠くなぁという印象があって、この人厚みがないなぁと思っていた(だから単なる端役と思っていた)のが、最後のシーン本当に凄まじかったです。

言語や理屈をこえて、「あそこでは、ああせざるを得なかったよな」という必然性のようなものを感じました。

神がかった熱演だったと思います。

 

日本アカデミー賞を取るとしたら誰が主演賞を取って誰が助演賞を取るんでしょうねえ

と思ってしまうくらい好演合戦でした。

人間の狂気、邪悪さ、生々しい感情の表現としては最高峰のレベルだと思いましたし私はやられた(重い…)

 

「怒り」というより「狂気」

・メインテーマのひとつである犯人の「怒り」については、「怒り」というより狂気のようだな、と思いました。結局、何で(もしくは何に)怒っているのかよく分からない。多少関連するシーンはあったけれど、佐久本くんの最後のシーン同様、それは表層的な説明であって、根源的には言語を絶する何かが蠢いている、という印象を受けました。

帰る道々よく考えてみたけれど、やはり言葉ではうまくとらえられませんでした。

 

と書いてきて、

表層には合理的で、誰もがある程度納得しやすい理路があるけれど、その深層には非合理で衝動的で暴力的な何かが蠢いている。

それは全然言語では説明できないけれど、感覚的には捉えられる

というようなことが表現したかったのか、と思いました。

(最近自分が、その二層構造のようなものを感じ、思いを巡らせていたところなので…少し引き付けすぎたかもしれませんが)

 

宮崎あおい広瀬すずが演じた「怒り」、泣いても誰も助けに来てくれないんだよ、宮崎あおいさん迫真の名ぜりふでした。

そういうやるせない、誰にぶつけたらいいか分からない怒りは、あるでしょう。私はあんまりないけど。

それにしても沖縄の基地問題に随分切り込んでいてびっくりしました。物議を醸しそうな。

 

 

とにかく羅列的で申し訳なかったのですが、感想戦をここに終わります。

全然役名を覚えておらず、全部役者さんの名前で表記してしまいました。すみません。

まぁなんといっても妻夫木さんがエロかったです。BL趣味はないんですけれど。あの脚ちょいちょいって蹴るとこ…(2回目)

とにかくメンタルの比較的調った日に気合いを入れて観ることをオススメします。重い。

 

明日からまた仕事ですね。

以上はねゆきでした。

 

 

怒り(上) (中公文庫)

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怒り(下) (中公文庫)

怒り(下) (中公文庫)