【読書】『ひらめき教室 弱者のための仕事論』
こんな本を読みました。
人気漫画『暗殺教室』の作者と、世界的デザイナーの異色の対談です。
ちなみに『暗殺教室』は、この本きっかけで初めて読んでみたのですが、面白くてすっかりハマってしまいました。
抽象思考の話①
松井さんの発想法や、漫画を連載する上での構成法・考え方など、興味深いポイントがたくさんありました。
中でも、こんな会話。
佐藤 連載を続ける上で、何を重要視しています?
松井 おもしろさから目を逸らさないことですかね。自分の漫画を見るとき、「本当におもしろいのか?」と薄目で見るんです。まつ毛がブラインド状になるぐらいまで、薄目になる。
佐藤 ぼやっと見る感じ?
松井 そう、焦点をぼやかして見るんです。情報量が圧倒的に少なくなるので、それでもおもしろければ、まあおもしろいだろうと考える。
佐藤 あ、その説明を聞いて、ピンと来ました。僕もアイデアを考えるとき、焦点を絞ると周りがまったく見えなくなるので、なかなか見つからないんですよね。ふわっと見る方がおもしろいアイデアが転がっていたりする。
読んだその時には、特に何も心に引っかからず、付箋もしていなかったのですが、
たまたま次に読んだ本に、同じような話が出てきていて。
しっかりと見えているもの(ピントが合っているもの)を、わざと目を細め、ぼんやりと見てみよう。
そうすると、そこにあるものを抽象的に捉えることができる。知合いの人を見ているときでも、目を細めてみれば、もう誰なのかわからない。
ただ、ぼんやりと、一人の人間がそこにいるとしかわからない。ときには、そういったぼんやりとしたものの見方が必要になるのである。
(森博嗣『人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか』)
先週末たまたま本屋で買った2冊の新書に、同じことが書いてあったので、少し驚きました。
意識して買ったわけでもないのに…。ただ、本を読んでいると、今の自分にとって必要なことがセンサーに引っかかりやすくなる、というのはあると思うので、「抽象思考」というのが今の自分にとってのキーワードなのかな、と漠然と思っていました。
そんな矢先に、交通事故に遭いました。(超展開ですね)
交通事故の話
仕事中、会社の車で移動していて、交通事故に遭いました。見通しの悪い、信号のない交差点に入ったところ、右手からいきなり軽自動車が突っ込んできて…。
気づいた瞬間踏んだのですが、間に合わず。向こうもかわし切れず、こちらの自動車のフロントが相手車両の左側部に当たって、はねた形になり、相手の車は一回転して着地した…ように見えました。で、お互いにけがなし(会社の車が1台つぶれましたが)。
状況的には相手の一時停止無視なのですが、自分にも注意義務があるので10:0にはならず、あとは会社の保険屋さんにおまかせ、という話になっています。
お互いけががなかったことは不幸中の幸いでした。
ただ、事故に遭ったその夜と翌日は、今思えば、ぶわーっといろいろなことを考えました。一種の興奮状態だったんじゃないでしょうか。
まず、脳内で事故が起きたときの光景が鮮やかにリプレイされる。延々と、です。
いきなり右から車が来て、肉薄して、当たって、目の前を1回転する。
起きてしまった現実の、あの「取り返しのつかない」感は何なんでしょう。
もう起きなかったことにはできない…という、後悔とはまた違う、独特の感じ。
そのあとふつうに1コマやったのが自分でも驚くくらい、その日は疲れました…
抽象思考の話②
さて抽象思考の話に戻ります。本の内容を受けて、「学び」とは≪事故や失敗といった具体的なことがらを「薄目で見て」抽象化し、適用範囲の広い教訓を得ること≫なのだな、と思いました。
その抽象思考が人を成長させるのですが、私が事故の後に感じた絶望感は、「自分は抽象化能力が低い」ということへの絶望感でもありました。
私は、人から見ると同じように見えるミスを延々と何度もする傾向にあります。私にとっては、一つ一つ原因が異なる、別の出来事なんですが…それはひとえに抽象化能力が低いせいでしょう。それを≪学習能力の欠如≫と人は呼びます。
仕事のミスでは死にませんが、交通事故では死にかねません。確かに今回、「見通しの悪い交差点での事故」は体験しましたが、これが抽象化できなければ、「サンキュー事故」、「巻き込み事故」、「車線変更時の事故」など、同じような(でも私にとっては一つ一つ異なる)事故を繰り返すでしょう。
事故にかぎらず、あらゆる危険に対して、当てはまります。そのうち死ぬぞ、生きていけないぞ…と思ってしまいました。
ですので、私も頑張って(生存をかけて)≪薄目で見る≫訓練をしてまいりたいと思います☆
最後に。信号のない交差点に進入する際には、細心の注意を払いましょう。。
私はいっそ、しばらくは、信号のない交差点が出現するような住宅街を通らないようにしたいと思います。怖かったので。
以上はねゆきでした
【高校英語参考書】フォレストを使って高校英文法の総復習
- 作者: 石黒昭博
- 出版社/メーカー: 桐原書店
- 発売日: 2013/12
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総合英語Forest(7th Edition)解いてトレーニング
- 作者: 石黒昭博
- 出版社/メーカー: 桐原書店
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今日のまとめ
□フォレストは3日で通読する!
□並行で問題集をやって、「分かったつもり」を排除!
□スキマ時間用の問題集(見開きで問題と答えがすぐ確認できるもの)は、あえて8割できるものを選んで、知識の確認+できない2割を周回で定着!
【読書】「ザ・ワーク」/「人間は自分が考えているような人間になる」
最近読んだ本の話をしたいのです。
なぁなぁなんですけれど、してもいいでしょうか(笑)
『ザ・ワーク』
まずはこちら。『ザ・ワーク』です。- 作者: バイロン・ケイティ、スティーヴン・ミッチェル ,神田房枝訳、ティム・マクリーン監訳・高岡よし子監訳
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2011/04/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 2人 クリック: 15回
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この本の前提は「起きていることはすべて正しい」ということ。
つらさ・苦しさ・悪感情などをもたらすのは、あくまでも現実ではなく、誤った認識・考え方であるとし、「誤った考え」を手放すための方策を述べた本です。
自己啓発書を読んでいると、「起きていることはすべて正しい」「悩みや苦しみなどは、現実そのものではなく現実に対する認識から生まれる」という考え方がたびたび出てきますよね。
たとえば、
「私たちは自分の身に起こったことで傷つくのではない。その出来事に対する自分の反応によって傷つくのである。もちろん、肉体的に傷ついたり、経済的な損害を被ったりして、つらい思いをすることもあるだろう。しかしその出来事が、私たちの人格、私たちの基礎をなすアイデンティティまでも傷つけるのを許してはいけない」(『7つの法則』)
「人は誰しも、客観的な世界に住んでいるのではなく、自らが意味づけをほどこした主観的な世界に住んでいます。」
(『嫌われる勇気』)
などなど。
言い回しは異なりますが、自分の外側で起こった事象に対して、どう受け止めるか、どのように考えるかは自分の自由である、という考え方です。
実際に起きた出来事(現実)と、それに対して自分がどう受け止めるか(認識・思考)の間には距離があり、我々は自分でどう認識するか選択できる…というような言い方がされるときもありますね。
道路の渋滞ひとつとっても、イライラすればbadな出来事になってしまうけれど、「この機会にゆっくり考えでも整理しよう」と思えればgoodな出来事になる、とか。
あとは、同僚が嫌味だからむかつくんじゃなくて、自分が嫌味と受け止めるから(それだけの劣等感を抱いているから)むかつくんだ、とか。
だから(身もふたもないけど、ざっくり言うと)「気の持ちよう」ですよー、っていうことが、自己啓発書にはよく書いてあります。そんな気がします。
(個人的には、こういう考え方に救われた部分はだいぶあります。上司が怒り散らすのは上司の反応であり、私がそれにどう反応するかは私の自由である…とか。
ただし受け入れることと拒絶することの見極めをしっかりコントロールできないと悪い方向に流れてしまいますが…)
さてそんな類書の山の中で、『ザ・ワーク』の特徴は、
①「起きていること(現実)が正しい。現実と闘う(相反する)思考は誤っている」という考え方を非常に強く打ち出していること
②「誤った考え」を手放すための具体的な方法(自問自答する「4つの質問」と「置き換え」のワーク)を提示していること
でしょうか。
②の「4つの質問」と「置き換え」のワークについては、本を読んでいただくとして…。
たとえば、
「夫はもっとダイエットすべきだ」という考えを持ち、ダイエットしない夫を見ているとイライラする、という奥さんがいたとします。
「夫はダイエットしていない」というのが本当(現実)なので、この本の考えでは「ダイエットすべきだ」という考えは「本当ではない」。
また、「夫はダイエットすべきだ」と考えないようにすれば、どんな利益があるか(イライラしないで済む)考えれば、おのずと夫にダイエットを強要する考えを手放す結論に至る…
とまぁ、こんな感じのことが書いてありました。
と、ここまで書くと、まるで私がオススメしているみたいですけれど、別にオススメしてません。こんなことが書いてあったよ、という紹介です。
逆に途中でいやになっちゃって、読むのをやめてしまったくらいです←
ざっくり言うと、この本の主張は「現実と相克する考え(たとえば、言うことを聞かない子どもに対して「言うことを聞くべきだ」と考える、など)を抱いても、
悪いことばかりで利益もないし意味ないので、手放しましょう」ということです。
確かに超合理的な考え方ですけれど、人間てもう少しウェットなものだと思いません?そんなに常に、利益と目的に対して最短距離で進むものですかね?
前提を覆す発言になりますけれど、「利益にならず、むしろ害悪になって、意味のないもの」はすべて、捨ててしまっていいものなんでしょうか。
自分に関して言えば、「そんなこと考えたって意味がない」って切り捨てていくのは、仕事の面だけで十分で、より個人的な面では、弱くて、ぐちゃぐちゃして、邪悪で、混乱した、意味のないものを、何だかんだで結局愛しているような気がしてなりません。
それが自分を人間たらしめているのであって、利益にならないとか、意味がないとか、そんな理由で取捨選択をしていくことは、人間味に欠けるような気がしてしまうのですが…
そうか、みんな人間ではなく機械を目指しているのかもしれませんね。コミュニケーション・マシーン。make the world better。
…まぁ全然支離滅裂で反論になっておりません。おそらく個人の性格の問題なのでしょう。
とにかく私はこの本が好きではありませんでした。
『人間は自分が考えているような人間になる』
次に読んだのはこちら。- 作者: アール・ナイチンゲール,田中孝顕
- 出版社/メーカー: きこ書房
- 発売日: 2014/10/31
- メディア: 文庫
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この本は、その題名の通り、「思考が現実になる」という考え方を前提にしていて、これも自己啓発書に多く見られる考え方です。
引き寄せの法則、とか、ナポレオン・ヒルの「思考は現実化する」とか、そうですよね。
この本には「人間は自分が考えているような人間になる」とか、「人間は人の役に立つために生きている」とか、「報酬は人に奉仕した代償である」とか、名言がたくさんちりばめられています。
受け入れがたい現実に対し折り合いをつけるというよりは果敢に立ち向かっていくための教えであり、どちらかというと『ザ・ワーク』よりもやる気の出る内容ではありました。
かといってこの本も別にオススメではありません←
翻訳もの(made in America)の自己啓発書に多く見られる欠点なんですが、冗長っていうか、経歴自慢が長いっていうか…。
あと、勝手に一部分を太字にするのをやめてほしいですよね。なんかねー、私だけかもしれないですが、「ほっとけ」って思っちゃいますね。
***
さて今日は結局、「別にオススメじゃないけど、最近読んだ本について」というなぁなぁな記事になってしまいました。
それにしても、オススメ本と同じくらい、「納得できない本」について語りたくなってしまうのは私だけでしょうか。
しかも知人(あまり読書しない)に「面白くてオススメの本の話」は世間話としてかろうじてできても、「面白くなかった納得いかない本の話」はさすがにできないので、この「話したさ」は出口を求めて右往左往するのでありました。
よくよく考えれば、さっきの本では「現実が正しく、現実と相克する思考は正しくない」と言っていて、こっちの本では「思考が現実のものになる」「思考によって運命を切り開いていく」と言っていて、いろんな考え方があって面白いですね。
とにかく人間は、受け入れがたい現実に対してどのように振る舞うかを、有史以来延々と模索してきたわけですよね。
自己啓発書・ビジネス書はいろんな人生観・世界観を直接的に教えてくれるところが面白いです。
以上はねゆきでした。
【読書】宮下奈都『羊と鋼の森』
宮下奈都『羊と鋼の森』を読みました。
新人ピアノ調律師が、失敗しながらも少しずつ成長していく話です。
- 作者: 宮下奈都
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/09/11
- メディア: 単行本
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帯に「村上春樹のドライさと湿り気。小川洋子の明るさと不穏、二人の先行作家の魅力を併せ持った作品です」と語られていましたが、うーん、よく分かりませんでした。
確かにピアノの音色に関する情景描写がたくさん出てきて、その表現の豊かさはこの小説の魅力のひとつでありましょう。
秋の、夜、だった時間帯が、だんだん狭く限られていく。(中略)
町の六時は明るいけれど、山間の集落は森に遮られて太陽の最後の光が届かない。夜になるのを待って活動を始める山の生きものたちが、すぐその辺りで息を潜めている気配がある。静かで、あたたかな、深さを含んだ音。そういう音がピアノから零れてくる。
こんな感じの。
けど個人的には、この小説の最大の魅力は、
「地道な努力をこつこつ続けながら、自分の目指す音色・調律のあり方を探っていく新人調律師の姿」であり、
「調律師としてなかなか思うような結果が出せない中、才能や努力の意味に思いをめぐらしながら、成長していく青年の姿」だと思うのです。
つまり私は、「お仕事小説」として読みました。
たとえばこんな。
「調律って、どうすればうまくなるんでしょう」
ひとりごとだった。席に戻りながら、思わず口に出ていたらしい。
「まず、一万時間だって」
その声にふりむくと、北川さんが僕を見ていた。
「そんなことでも一万時間かければ形になるらしいから。悩むなら、一万時間かけてから悩めばいいの。」
「口にしないだけで、みんなわかってるよ。だけどさ、才能とか、素質とか、考えないよな。考えたってしかたがないんだから。」
ひと呼吸おいて、秋野さんは続けた。
「ただ、やるだけ」
ぞくっとした。秋野さんでさえ、そうなのか。
「才能がなくたって生きていけるんだよ。だけど、どこかで信じてるんだ。一万時間を越えても見えなかった何かが、二万時間をかければ見えるかもしれない。早くに見えることよりも、高く大きく見えることのほうが大事なんじゃないか。」
才能とか、素質とか、考えない。ただ、やるだけ。
才能がなくたって生きていける。一万時間を越えても見えなかった何かが、二万時間をかければ見えるかもしれない。
個人的には、こういう言葉に心を動かされました。
才能とか、素質とか、考えてしまうのはまだ甘いのかもしれません。ただやるだけ。欲しければ求めるだけ、ですから。
好きだとか気持ちがいいだとか、自分の中だけのちっぽけな基準はいつか変わっていくだろう。あのとき、高校の体育館で板鳥さんのピアノの調律を目にして、欲しかったのはこれだと一瞬にしてわかった。わかりたいけれど無理だろう、などと悠長に考えるようなものはどうでもよかった。それは望みですらない。わからないものに理屈をつけて自分を納得させることがばかばかしくなった。
「あきらめないと思います」
声に出さずにつぶやく。あきらめる理由がない。要るものと、要らないものが、はっきり見えている。
***
最近、さる教育評論家の講演を聞く機会があったのですが、そのときに彼女が、
「子どもは親の時間を吸って育つ」「私は子どもに自分の時間をすべて吸わせました」
と言ってて。
そうなんだ、すごいな、でも私にはまねできない、そもそも子どもをもつことが想像できない…などと勝手に思っていたら、
一緒に聞いていた上司に案の定「お前は(結婚や子どもは得られないだろうから)仕事にすべての時間を吸わせたら?」と言われて(よく考えたら部下に言うことではまったくありませんが、もちろん、冗談でありましょう)ちょうど考えていた折も折です。
子どもに時間を吸わせれば、子どもは育つ。ある意味形あるものが世界に残る、それはそれで充実感の得られることだろう。
でも仕事に時間を吸わせたとして、私に何が残る?
そんなことを考えていたところなので、一万時間の話や、要るもの要らないもの、の話がアンテナに引っかかったのだと思います。
まぁ、その「仕事にすべての時間を吸わせる」決心もつかない時点で、本当は自分にとってどうでもよいものなのでしょう。
だからこそこんなに適当に為される。
自分のすべての時間を迷いなく、ためらいなく吸わせる対象を高校生にして見つけた主人公がうらやましく、自分もそうなれたら…と思いながら読んでいた、と思います。
ちなみに、「仕事に自分のすべての時間を吸わせて、何が残るのでしょうか」と当該上司に伺ったところ(よく考えたら上司に聞くことではまったくありませんが、もちろん、冗談であります)
「結局津波が来たら全部流されて、生き様しか残らないんだよ。人生で残せるものは生き様だけ」
と申しておりました。
…だんだんブログが彼の名言録と化しつつありますね(笑)
以上はねゆきでした。
【雑記】受け止めること
俺の言葉を、気持ちを、余計な言葉を入れずに受け止めろ
神よ願わくば私に
変えられないことを受け入れる落ち着きと
変えられることを変える勇気と
その2つを常に見分ける知恵とをお授けください
『スローターハウス5』
「問題を自分のこととして受け止めて、自分が変わらなければ、状況は変わらない」
【雑記】愛せよ、人生において良きことはそれだけである
【読書】原田マハ『本日は、お日柄もよく』
今日はお休みでした。わりとずっと本を読んでいました。
まずあらすじから。
OL二ノ宮こと葉は、想いをよせていた幼なじみ厚志の結婚式に最悪の気分で出席していた。ところがその結婚式で涙が溢れるほど感動する衝撃的なスピーチに出会う。それは伝説のスピーチライター久遠久美の祝辞だった。空気を一変させる言葉に魅せられてしまったこと葉はすぐに弟子入り。久美の教えを受け、「政権交代」を叫ぶ野党のスピーチライターに抜擢された!目頭が熱くなるお仕事小説。
2009年の政権交代時の衆院選をネタ*1に、「スピーチライター」という耳慣れない職業にスポットを当てた小説です。活躍の場はイベントや披露宴、選挙選にいたるまで幅広く、スピーチの原稿作成にとどまらず、コピーライティングやブランディングも担当する「スピーチライター」(スピーチコンサルタント)としてのこと葉の成長を描いています
実際目頭が熱くなるお仕事小説でしたはい。
この小説の魅力の1つとして、作中劇ならぬ作中スピーチとしてばしばし登場する名言・格言があります。たとえば、
「困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい。三時間後の君、涙がとまっている。二十四時間後の君、涙は乾いている。二日後の君、顔を上げている。三日後の君、歩き出している」
これは作中オリジナルみたい。想像してみるといい、って、いいですね。
でも、個人的には一番はこれかなぁ。
「愛せよ。人生において良きことはそれだけである」
これは出典があるようで、ジョルジュ・サンド(フランスの女流作家で、ショパンの恋人)の名言のようです。
名言・格言というのは本当に強くて、ジョルジュ・サンドがもともとどういう文脈でこれを言ったか分かりませんが、スピーチとしてこの言葉だけを抜粋すると、ぴったりと聞く人それぞれの状況や心理に呼応しますよね。シンプルであればあるほど、多くの人に呼応し、各人にとっての「まるで私に向かって言っているような言葉」になる。だから目頭も熱くなるし、そんな表現を考え出すために日々工夫を重ねる人がいる、ということに心を打たれます。
他にもいろいろと本を読んだりして、充実した休日でした。
今日はまた長くて修羅場な1日なんだよな~(^^;
全国の日曜出勤のお仲間の皆さん、頑張りましょうね~。
以上はねゆきでした。